藤井俊治 展 「硬くて、美しくて、空っぽで、中が透けて見える」
2013年2月25日(月)~3月16日(土)
12:30~18:30  日曜休み
@ギャラリーほそかわ
大阪市浪速区元町1-2-25 A.I.R.1963ビル3F
TEL: 06-6633-0116


*展覧会展示風景

藤井俊治(ふじいとしはる)は1983年に滋賀県に生まれる。 京都市立芸術大学大学院にて油画を学ぶ。 
豊かな色彩感覚とのびやかな描法で成安造形大学在学中にシェル賞グランプリを受賞し早くから注目を浴びる。 
近年は滋賀県次世代文化賞を受賞するなどその評価は高い。 
藤井はマスキング、ストローク、点描、多色のコントラストなどによって装飾的な美しい画面を構成する、
また油彩に箔やジェッソなどの素材を使い、反射や見る角度によって下地と像が交錯するかのような不思議な効果を
もたらしている。 その独自の描法によってイメージ性の強い現代の絵画から距離をおく。 
今展は新作の油彩、ドローイングを出品する予定。    

「私は、流動性、二面性、多面性、匿名性、抽象性、といったキーワードからモチーフを選び、固定されないものたちを
絵画画面における筆致や分厚くおかれた絵具のあり方との関係や、硬質な物質性を持ちながらも光を反射させて
その質量を失う箔、鮮やかな色彩と余白の白、白・有色(主にピンク)・箔それぞれを描かれるものの下地にすることで
出来る手前と奥の微妙な奥行きなど、絵画の画面における独特のマテリアルの状態と結びつけることで、
イメージが単にそのものにみえて完結するのではない視覚経験が誘発するような『装置』としての画面を作りたいと
思っています。それはイメージをみているようで絵の具をみているようで色をみているようで物質をみているような
曖昧な経験を引き起こし、絵をみているのか、周りの空間をみているのか、また、自分自身をみているのか、
みているものについて自身に問うような視覚経験へと繋がるのです。」 藤井俊治アーチストステートメント

※展覧会タイトルは、スコット・フィッツジェラルド(1896-1940)の小説「カットグラスの鉢」の中で交わされる会話を引用。

藤井俊治作品のユニークな素材、箔とは:
余白の部分はジェッソがみえており、全体的にアルミ箔(美術工作用)をはっています。像にみえたり、光や地にかわったりする
アルミ箔と、下地にみえたり、像(図)にみえたりするジェッソ面が、画面における地と図の関係に揺さぶりをかけます。
角度によってアルミ箔が光を反射し、白くみえるので、下地の白と同化し、消えたり現れたりと不思議な見え方をします。
有色で描かれた部分は下地をジェッソそのままのところ、アルミ箔のところ、ピンク色を塗ったところという3層を設け、
平面に微妙な奥行きを作り出すことが可能だと思います。

画像:「つながりのゆくえ」 2013年 綿布に油彩、アルミ箔、ジェッソ 162 x 110cm ©Toshiharu Fujii