大岩オスカール展 Oscar OIWA Looking my World
2012年10月1日(月)~24日(水)
12:30~18:30 日曜、祝日休み

このたびギャラリーほそかわでは関西で初となる大岩オスカールの個展をいたします。

大岩オスカールは1965年に日系2世としてブラジルのサンパウロに生まれます。
サンパウロ大学で建築を学んだのち東京やロンドン、ニューヨークと移り住み、現代美術の作家として
国際的に活躍する基盤を培ってきました。 また会田誠や小沢剛らとともに昭和40年会のメンバーと
して90年代後半の日本の現代美術を牽引してきたことでも知られています。 現在はニューヨークに
アトリエを構えながら、日本やアメリカ、ヨーロッパのみならずブラジルやアジア諸国での美術館や
画廊で精力的に発表を続けています。 国際的な視野を持ち、脱欧米中心主義以降の世代において
最も活躍する作家の一人と言っても過言ではないと思います。  
ごく最近では2014 FIFA World Cup Brazilの公式アートポスターを手がけるアーチストの
一人としてマルレーネ・デュマスやウィリアム・ケントリッジらとともに選ばれました。 

オスカールの初期の作品には彼が生まれてもみない日本の昭和を彷彿とさせるような古びたマンガの
ひとコマのようにゆったりと穏やかなシーンが描かれていました。 その一見ゆるやかな風景描写から
ニューヨークに移り住んでからのメッセージ性のつよいダイナミックな作品にいたるまでそこには常に
心揺さぶられるような先見的なモチーフが隠されていて、その洞察力の深さに驚かされます。 
緑の森のなかの小さな隠れ家にも見えるジブリのアニメのワンシーンのような絵に目を凝らしてみると
かすかにOCCUPY WALL STREETの文字が。
「ウォール街を占拠せよ」と、ニューヨークで起こった抗議運動のメッセージを読み取ると
からみつく植物の蔓までが電気コードやチューブのように見えてくるオスカール独特の暗示的な
イメージにまた気づかされるのです。 

今展はNest seriesを中心とした油彩と身のまわりのものを描いたドローイングを展覧、
ニューヨークに移り住んでからの10年の新作と旧作を交えてご紹介いたします。
                 

「子供の頃、よく庭に飛んでくる鳥のために家をつくりました。 その中に実際に鳥が
 住み着いて、ひなを育てていました。 大人になって、よく世界を飛ぶようになりました。
 自分の巣はこのようなものではないかと思います。」 2012年8月 オスカール大岩          

画像:Dormitory 2012 oil on canvas 71 x 91cm ©Oscar Oiwa  
企画協力: ギャラリーキャプション