松谷は1937年に大阪市に生まれる。ビニール系接着剤を使った独自の表現で吉原治良に高く評価され
具体美術協会の会員として1972年の解散までメンバーとして活動する。1966年にフランス政府給費留学生として
渡仏以降半世紀以上住むパリを拠点に日本や諸外国を行き来しながら国際的に活躍する。 
今展では1950年代の日本画から、ビニール系接着剤を使用しはじめた60年代の具体時代の抽象絵画、版画を含む70年代の 
ハードエッジの時代をへて黒鉛の流動シリーズなど約60年に亘る多彩な画業を紹介、フランス国内の美術館では初となる
松谷の回顧的展覧会となる。旧作にとどまらず流動シリーズの最新作インスタレーションに加えて、意欲的な次の展開を
予感させるアクリルとボンドによる色彩豊かなタブロー、トンド(円形)の新作シリーズも発表。 
9月11日付の現地フィガロ紙が絶賛展評記事を紹介、展覧会図録は完売、12万人以上の入場者数を記録する。 

ギャラリーほそかわに於いては2回の個展「白のオブジェの時代」2003年、「離見の見」2018~’19年および
数々のグループ展、アートフェア出品など経て現在に至る。

画像: ポンピドーセンターの個展会場にて。 作品を前に語る松谷武判。 Photo by Mieko Yoshihara